インホイール式EV向けに開発した空冷の新構造によって小型軽量・高効率なダイレクト駆動システムのラインナップを拡充
空冷の12インチは連続定格5.5kWを実現、油冷の16インチと19インチの計3機種で小型車からSUVまで幅広い車両に対応

12インチ空冷ダイレクト駆動システム

Astemo株式会社(以下、Astemo)は、EV^*1の性能や利便性を高める次世代モビリティとして注目されるインホイール式のEV向けに、軽自動車など小型車に搭載可能な12インチサイズの空冷ダイレクト駆動システムを開発しました。本システムは内蔵したモーターの駆動力をホイールに直接伝達し、簡素な空冷方式を採用しながらも小型・軽量化と高効率化を実現することで、日常的な運転条件に対応できる連続定格5.5kWを達成しています。今回の開発により、当社のインホイール式EV向けダイレクト駆動システムには12インチが新たに加わり、16インチ、19インチのラインナップと併せてさまざまなサイズの電動モビリティへの展開に向け、2030年ごろの実用化をめざします。

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  Electric Vehicle

インホイール式EV向けのダイレクト駆動システムは、EVの性能向上や車室空間の拡大をもたらすだけでなく、各車輪を個別に制御することで車両の運動を多様に制御できるため、今後のモビリティ用途を拡大させる技術として世界的に注目され、さまざまな企業で開発が進められています。Astemoはこれまで、株式会社日立製作所(以下、日立)の研究開発グループとともに、油冷方式のダイレクト駆動システムの開発^*2を進め、19インチおよび16インチホイールへの適用を検討してきました。しかし、レイアウトやコストの制約が厳しい小型車や二輪車などへの搭載にあたっては、油冷方式で必要となる冷却配管や付帯する設備の追加が課題となっていました。一方、空冷方式にする場合は、小型車のホイールサイズが小さいため、冷却に必要な放熱面積の確保が困難になるという別の課題がありました。

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  2021年9月30日付ニュースリリース「インホイール式EVの実現に向けて小型・軽量のダイレクト駆動システム『Direct Electrified Wheel』を開発」

• https://www.astemo.com/jp/assets/pdf/news/20210930-01.pdf

今回開発した12インチのダイレクト駆動システムでは、ホイールに収められるモーターの回転を利用して放熱量を増大させる新たな空冷構造を採用し、従来の課題を克服しました。具体的には、モーターの回転部分の外表面全体に放熱フィンを配置した「ロータリーフィン構造」にしたことで、放熱性能を大幅に向上させています。その結果、1輪あたり同サイズではトップクラスとなる連続定格5.5kWを実現し、最大出力は13kWに達します。これを４輪に搭載した場合、電動軽自動車に求められる駆動性能を満たすことが可能となります。
この新たな空冷構造は日立の研究開発グループとの共同開発によって実現しました。冷却機構を簡素化することで、レイアウトの複雑化やコストの増加といった課題の解消にもつながっています。また、本システムには、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業/次世代モーターの開発(JPNP21026)の助成事業を通じて開発した、高占積率ながら分解性・リサイクル性に優れる「易解体集中巻コイル」を採用しており、資源循環設計にも対応しています。このコイルはモーターの高効率化と資源循環を実現する共通技術として16インチおよび19インチのダイレクト駆動システムにも適用されており、今回12インチモデルが新たに加わることで、さまざまなサイズの電動モビリティへの対応が可能となります。

今回開発した12インチの空冷ダイレクト駆動システムは、2025年5月21日からパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2025」に展示します。

Astemoはインホイール式EV向けのダイレクト駆動システムをはじめとする、自動車の価値を高める先進技術の開発や提供を通じて、持続可能な社会と人々の豊かな生活の実現に貢献していきます。

インホイール式ダイレクト駆動システムに関する主な仕様

インホイール式ダイレクト駆動システムに関する主な仕様