CSuOメッセージ

事業戦略と一体で取り組むサステナビリティ

新たなモビリティソリューションの創出に挑戦

Astemoグループは、「モビリティを通じて持続可能な世界に貢献する」ことを使命とし、次世代により良い社会を残すことを、最も重要な責務と捉えています。その実現に向けて、サステナビリティ経営を事業活動の中核に据えています。
現在、モビリティ業界は、SDV(Software Defined Vehicle)への移行という歴史的転換点を迎えています。当社グループはこの変化を成長の機会と捉え、モビリティソリューションプロバイダーとしての地位確立をめざしています。
具体的には、車両全体を制御するプラットフォームの構築、仮想空間上のデジタルモデル、生成AIを活用したシミュレーション環境の整備などを進めており、さらに、Out-Car領域の仮想化環境の開発を担うAstemo Cypremosの設立や、データ取得・解析基盤の強化を通じて、統合データを活用した新たなモビリティの価値創出にも取り組んでいます。
さらに、SDVや電動化といった急速な業界変化へ対応するため、顧客対応、製品開発、生産現場の迅速な意思決定と対応力の強化に努めています。また、これらを支えるべく、ERP(Enterprise Resources Planning)統合などのDX推進により業務プロセスを再設計し、独自のオペレーティングモデルで事業基盤の強化に取り組んでいます。
生産性向上によって生まれた時間と資源は、将来の成長投資へと戦略的に再配分することを基本方針としており、今後は、OT(Operational Technology)とIT(Information Technology)の融合を通じて、さらなる付加価値の実現をめざします。

マテリアリティに基づくサステナビリティ経営を推進

2024年度は、Astemoグループにとってサステナビリティ経営を本格的に始動させた「元年」でした。サステナビリティ戦略本部を新設し、役員が参画する委員会を定期開催するとともに、全社戦略とアクションプランの具体化を進めています。
なかでも、マテリアリティの特定は重要度の高い取り組みでした。特定に際しては、約9,000名の従業員を対象としたサーベイや、100名超が参加したグローバルワークショップを通じて、丁寧な対話を重ねました。また、サステナビリティに関する外部団体、学術機関、地域社会(自治体)、お客様など、数多くのステークホルダーから貴重なご意見をいただき、これらを踏まえて、9つのマテリアリティ(P17参照)を特定しました。これらは、「Astemoグループとして社会にいかに貢献するか」を多様な視点で議論した成果であり、今後の経営の軸となるものです。
私はCSuO(Chief Sustainability Officer)とCSO(Chief Strategy Officer)を兼任し、経営・事業戦略の策定から実行までを一貫して担う立場にあります。将来のあるべき姿、いわば「北極星」を描きながら、その実現に向けた施策の具体化を進めていきます。

バリューチェーン全体での脱炭素化を推進

Astemoグループは、事業戦略と環境戦略を一体化した経営を推進するなかで、脱炭素社会の実現を重要な責務として取り組んでおり、自社の環境負荷低減とバリューチェーン全体の最適化に取り組んでいます。
スコープ1、2については、再生可能エネルギーの導入や省エネ推進に加え、水素などクリーンエネルギーの活用も検討を進めています。国内全工場における100%再エネ化を達成するとともに、2023年11月にはSBTi認定も取得しました。
一方、スコープ3、すなわちバリューチェーン全体のCO2排出削減においては、小型・軽量インバーターなど電動化製品の普及を通じて社会全体のCO2削減に貢献するとともに、数千社のサプライヤーと協働し、リサイクル材料や環境配慮型素材の活用を拡大しています。これらの取り組みに基づいて、経済産業省が進める「GXリーグ」では「GX率先実行宣言」を行い、ゴールドグレードを獲得しました。

非財務KPI活用による価値創出文化の醸成

サステナビリティ経営の進化には、経済、環境、社会の3つの価値をバランスよく追求することが不可欠です。その実現には財務KPIとあわせて、非財務KPIの設定・活用が重要な鍵となります。Astemoグループでは、人的資本やカーボンニュートラルといった非財務KPIを含め、企業価値と連動する財務・非財務の「価値創出レバー」の明確化を進めています。これにより、日々の業務を通じて達成すべきKPIと企業価値の関係性を整理し、従業員一人ひとりが共感できるストーリーとして、全社に共有することを検討しています。日々の自身の業務が価値創出に直結しているという実感が、自律的な行動を促し、「One Astemo」の実現へとつながると考えています。
このような価値創出への意識共有を通じて、私たちはサステナビリティ経営を、一過性の取り組みではなく、Astemoグループの文化として根付かせていきたいと考えています。
社名に込めた「Advanced Sustainable Technologies for Mobility」の精神を体現し、すべての従業員が日々の業務を通じて社会に価値を提供していく──その文化の醸成に向け、今後も従業員と対話を重ね、「One Astemo」でのサステナビリティ経営を実現してまいります。

Astemo株式会社
シニアヴァイスプレジデント
CSO & CDO & CSuO 兼 経営戦略統括本部長
田村 浩一