CEOメッセージ

モビリティを通じて持続可能な未来をつくる

進化の先へ、モビリティで共創する社会

私たちの社名Astemoは、「Advanced Sustainable Technologies for Mobility」に由来しています。この社名には、“先進的かつ持続可能な社会に貢献する技術を通じて、安全・快適で持続可能なモビリティライフを提供する”という強い意思が込められています。モビリティは、時間や距離の制約を克服し、社会や文化の発展を支えてきました。そして今、私たちはその進化の最前線に立ち、次の時代のモビリティを自らの手で構想・実現していく使命を担っています。
その使命を明確に示すために、世界中の従業員とともに、MISSION・VISION・VALUES(MVV)を策定しました。

Astemo MISSION:私たちは、世界をリードする先進的なモビリティソリューションの提供を通じて、持続可能な社会と人々の豊かな生活の実現に貢献します。VALUES:Innovation、DE&I、Agility、Leadership、Integrity、Collaboration。VISION:モビリティで世界中の人に安全と自由を さあ、Astemoとともに

MISSIONの「世界をリードする先進的なモビリティソリューションの提供を通じて、持続可能な社会と人々の豊かな生活の実現に貢献する」は、時代を超えて変わらぬ当社グループの存在意義を示しています。
そのMISSIONを追い求めるうえで、当社グループが10年後に実現したいと考える「理想の姿」を「VISION」として、そしてこれらを実現するために従業員一人ひとりが大切にすべき「価値観」や「判断基準」を6つの「VALUES」として定めました。
また、コーポレートスローガンである「Mobility Beyond」にも、国境や文化、業界や組織の枠を越えて挑戦し、移動の自由と可能性を広げていきたいという思いが込められています。
私たちは、従来の部品メーカーの枠を大きく越えた存在になりたいと考えています。総合的なモビリティソリューションプロバイダーへの変革――これこそが私たちのめざす姿です。先進技術を絶え間なく追求し続け、持続可能な社会と人々の豊かな生活の実現に向けて邁進してまいります。

変革の時代に応えるAstemoの強み

現在、自動車業界は「100年に一度の大変革期」といわれる転換期にあります。構造変化の加速とデジタル化の進展により、「電動化」と「知能化」という二大潮流が、業界を大きく変えつつあります。これまで「電気自動車(BEV)」と、車両全体をソフトウェアで制御する「SDV(Software Defined Vehicle)」は、並行して進展してきました。

電気自動車市場の成長は一時的に緩やかになっていますが、車両全体をソフトウェアで統合制御し、安全性や効率を高めるSDVは、引き続き注目を集めており、私はこの変化を大きなチャンスだと考えています。なぜなら、Astemoグループの競争優位性は、まさにこの変革の本質に関わる領域にあるからです。
例えばe-Axle、インバーター、モーター、電子制御ユニット(ECU)といった電動化製品に加え、「走る」「曲がる」「止まる」を高精度に制御する足回りの技術や、高度なステレオカメラなど、当社グループはSDV時代の中核技術を幅広く開発・保有しています。

Engineering cloudからオンボード上のシステムの機能をアップデート。統合ECUにより、電動パワートレイン、AD、ADAS、先進シャシーシステムを統合制御

さらに、最新のデジタル技術を活用し、OTA(Over-The-Air)*やクラウド上での設計、高度なデータ活用などの先進分野でも差別化を図っています。渋谷に新設したソフトウェア開発拠点も、統合制御技術の中核を担う戦略拠点です。
これらを単体ではなく有機的に統合制御することで、従来のクルマの概念を超える安全性と快適性が実現できる。つまり、ハードとソフトを自在に組み合わせたAstemoグループの統合技術こそが、私たちにしかない強みであり、これからのモビリティ社会における圧倒的な差別化の源泉になると確信しています。

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    OTA(Over-The-Air):無線通信によるソフトウェア更新技術。

統合と革新が導く 持続可能なモビリティのかたち

日立オートモティブシステムズ、ケーヒン、ショーワ、日信工業の統合により誕生したAstemoは、グローバル約130拠点に及ぶ生産ネットワークの連携と統合を強化し、組織全体の高位平準化を推進しています。これにより、グループ全体の一体感と実行力が飛躍的に向上し、より強固な事業基盤を築いています。
さらに、設計から生産に至る全プロセスにおいてデジタル技術を積極的に活用し、コンカレントエンジニアリング*の推進により、開発効率と製品品質の両面で大きな進化を遂げています。こうした取り組みは、私たちの技術力と組織力を融合させ、持続可能なモビリティの実現に向けた原動力となっています。
Astemoグループは、革新を止めることなく、先進的なサステナブルテクノロジーの追求を続けています。製造工程では、CO2排出量や廃棄物の削減、リサイクルの推進に取り組むとともに、設計段階から再利用性の高い素材や構造の採用を積極的に進めています。
また、脱炭素・循環型社会の実現は、Astemo単独では成し得ない挑戦です。自動車メーカーやサプライヤーとの密接な連携を通じて、バリューチェーン全体での持続可能な社会の実現に向け、着実に歩みを進めています。

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    コンカレントエンジニアリング:製品の開発プロセスを構成する複数の工程を同時並行で進め、各部門間での情報共有や共同作業を行うことで、開発期間の短縮やコストの削減を図る手法。

透明性と実効性で築く信頼されるガバナンス

Astemoグループは、グローバルに事業を展開する企業グループとして、健全な監督機能と公正な意思決定プロセスがすべての企業活動・サステナビリティ経営の基盤であると認識しており、透明性と実効性を備えたガバナンス体制の構築・維持を最重要課題として位置付けています。
こうした認識のもと、2023年10月に監査等委員会設置会社へ移行し、社外取締役の構成比を引き上げ、取締役会に多様な視点と外部の専門性を取り入れる体制を強化しました。あわせて、指名会議と報酬会議を設置し、いずれも社外取締役が過半数を占める体制とすることで、透明性と公正性の向上を確保する仕組みを整えています。
事業戦略や中長期ビジョンの策定においても、経営陣による議論に加え、取締役会での継続的な議論を通じて、社外取締役から多くの建設的な意見をいただいています。今後も、当社の成長に必要なスキルや専門性を備えた人財を積極的に登用し、経営監督機能の強化と体制の進化を推進していきます。
さらに、制度整備にとどまらず、実質的な組織文化としてのガバナンス向上にも取り組んでいます。すべての役員・従業員が高いコンプライアンス意識と品質責任を共有し、風通しの良い対話型の企業文化を育むことで、現場の声が経営に反映される仕組みが整い、組織全体で一体感のある意思決定が行われています。

一人ひとりの成長が、組織の価値を生み出す原動力

私たちの事業を支えているのは、約8万名の従業員一人ひとりの力です。これは私の誇りでもあります。世界20カ国以上に広がるAstemoグループでは、多様なバックグラウンドを持つ人財が、それぞれの専門性を活かして活躍しています。私は、誰もがそれぞれ持つ強みや能力を最大限に発揮できるインクルーシブな組織づくりを必ず実現したいと考えています。
このインクルーシブな組織づくりにおいては、多様な仲間との協働を通じて感性を磨き、挑戦し続ける人財の育成を重視しています。「従業員一人ひとりが会社を通して自己実現を追求してほしい」というメッセージを発信し、個人の成長が組織の価値創造につながるという考えを共有しています。
具体的な施策として、グローバル共通制度である「タレントレビュー」を通じて、各組織における人財の見える化や育成計画の策定を進めています。また、優秀な人財や成長を求める人財に対しては研修やプロジェクトを通じて、成長を力強く後押ししています。また、リーダーシップの価値観やその重要性を全社に浸透させるため、グローバルでコーチング文化の定着を図るとともに、マネージャー向けプログラムを展開しています。
さらに、変化に対応できる人財を育成するため、自己学習プラットフォームを導入し、とくに、DX人財育成やリスキリング機会の提供を進め、従業員が柔軟かつ主体的にスキルを高められる環境を整備しています。DX人財育成については重点的に投資しており、AIなどを活用して先進技術の開発や業務効率の向上を推進できる人財を2030年頃には約3,000名育成することを目標に掲げ、ビジネス価値の創出を確実に実現します。
また、従業員の安全と健康は、私にとって極めて優先度の高いテーマであり、私自身も各地の拠点を訪問して現場の声に耳を傾けています。現場には課題と可能性の両方がある――これが私の信念です。小集団活動や対話を通じて、一人ひとりの知恵と情熱が最大限に活きる職場づくりを推進しています。

変化を力に、信頼と価値を未来へつなぐ

経営環境は今後も大きく変化していくと予想されますが、私たちはその変化をおそれず、むしろ機会として捉え、柔軟に対応し、創造的に考え、果敢に行動していきます。
また、世の中の人々がどのような社会や製品を期待しているのかについて、スピード感を持って深く考え抜くBtoCの感覚を持つことが重要だと考えています。社会からの多様な要請に応え、事業を通じて社会課題を解決し、新たな価値を創出し続ける企業になることをめざします。
その実現のためには、Astemoのブランド価値をさらに高め、すべてのステークホルダーの皆様と築く信頼関係を、より深く、より持続的なものへと進化させていくことが不可欠だと考えています。
これからもAstemoグループは「モビリティの未来を切り拓く企業」として、社会から信頼され、期待される企業をめざし、全従業員が一体となって挑戦と変革を続けてまいります。引き続き、皆様からの温かいご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

Astemo株式会社
代表取締役 社長&CEO
竹内 弘平